vol.17 一度きりで終わらせない


健康診断は、一度受けて終わりではない

ここまで、患者満足度をなぜ測るのかから、どう測り、どう読み、どう改善するかまでを見てきました。最終回となる今回は、これらを「続けていく」ことの意味についてお話しします。

満足度調査を、健康診断にたとえてきました。先生方が患者さんに毎年の受診を勧められるのは、一度の数値そのものより、その変化を追うことに意味があるからだと思います。去年より良くなっているか、打った手が効いているか。それは、続けて測るからこそ見えてきます。満足度調査も、まったく同じです。一度きりの数値は、その時点の状態を教えてくれるだけで、向かっている方向までは映してくれません。

「測る・見つける・直す・また測る」を回す

質を継続的に改善していくための、よく知られた考え方があります。計画し、実行し、結果を評価し、次の手を打つ。この循環を回し続けることで、少しずつ質が高まっていく、という発想です。

これを、この連載で見てきたことに置き換えると、こうなります。まず患者さんの声を測る。集めたデータから、どこに課題があるかを見つける。優先順位をつけて、一つずつ直す。そして、また測って、その手が効いたかを確かめる。測る・見つける・直す・また測る。この四つをぐるぐると回していくことが、満足度を高め続けるということの正体です。

大切なのは、これが一本道のゴールではなく、終わりのない循環だという点です。一度直して終わりではなく、また測ることで次の課題が見えてくる。その繰り返しの中で、医院は少しずつ良くなっていきます。

続けるからこそ、変化が見える

一度きりの調査では、点しか見えません。続けて初めて、線が見えてきます。

ある領域に手を入れたあと、半年後の調査でスコアが上向いていれば、その施策が効いたという確かな手応えが得られます。逆に変わっていなければ、原因の見立てが違ったのかもしれない、と次の仮説に進めます。健診で経年の変化を見ていくのと同じ発想で、満足度も定期的に測って推移を追えば、自院がどの方向に向かっているのかが見えてきます。一回の点数に一喜一憂するのではなく、変化の方向を見る。これが、続けることの最大の価値です。

続ける仕組みを、どうつくるか

とはいえ、調査を定期的に続けるのは、現場にとって負担にもなります。アンケートを配り、回収し、集計し、読み解く。これを診療の合間に毎回行うのは、簡単なことではありません。

ここで、無理なく続けられる仕組みを持っておくことが効いてきます。院内で完結させるのが難しければ、調査の実施や集計を外部に任せ、医院は結果を読んで改善に集中する、という分担も選べます。どちらにせよ、続けられる形を整えておくことが、改善の循環を止めないコツです。一度きりの大きな調査より、無理のない調査を定期的に回し続けるほうが、はるかに大きな成果につながります。

患者さんの声を、経営の羅針盤に

長い連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、この連載全体を通してお伝えしたかったことを、一つにまとめます。

患者さんは、診療を受ける前に「人の声」で医院を選び、受けたあとの満足が、次の患者さんを連れてきます。その満足を、思い込みや断片的なネットの評価ではなく、自院の手で正確に測る。測った声を読み解き、一つずつ改善し、また測って確かめる。この地道な循環こそが、これからの時代に選ばれ続ける医院をつくります。患者満足度は、ただの点数ではありません。医院がどこへ向かうべきかを指し示す、経営の羅針盤なのです。

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