低評価には、二つの種類がある
これまで何度か、Googleの星評価は患者さんの実態を正確には映さない、という話をしてきました。とはいえ、自院に低い評価がつけば、気になるのが人情です。ここでは、その低評価とどう付き合えばよいのかを、具体的に考えてみます。
最初に押さえておきたいのは、低評価には大きく二つの種類がある、ということです。一つは、実際にあった問題を映している、正当な低評価。もう一つは、誤解や行き違い、あるいは医院ではどうにもならない事情から生まれた、理不尽な低評価です。この二つを区別せずに、すべてを同じように受け止めて落ち込んだり、逆にすべてを「言いがかりだ」と切り捨てたりするのは、どちらも得策ではありません。
正当な低評価は、改善のヒントにする
実際の問題を指摘している低評価は、つらいものですが、改善のヒントを含んでいます。「待たされた」「説明が不十分だった」「受付の対応が冷たかった」。こうした声は、自院で行った満足度調査の結果と照らし合わせてみてください。調査でも同じ領域のスコアが低ければ、それは偶然のクレームではなく、向き合うべき課題だという裏づけになります。
ただし、ここでも主役はあくまで自院の調査データです。レビューは一部の感情が動いた人の声なので、それだけで判断するのではなく、偏りを抑えて集めた調査結果と重ねることで、初めて確かな改善材料になります。拾える示唆は拾い、自院のデータで確かめる。これが、正当な低評価との付き合い方です。
理不尽な低評価には、振り回されなくていい
一方で、医院の努力ではどうにもならない低評価もあります。たとえば、医学的に適切な判断であっても、患者さんの希望に沿えなかったために低く評価される、ということが起こります。
「後医は名医」という言葉があります。後から診た医師は、前の医師の診療経過という情報を踏まえられるぶん、患者さんからは良く見えやすい。裏を返せば、最初に診た医師が、結果として理不尽に低く評価されることがあるのです。これは、医師個人の力量とは関係のない、構造的なものです。こうした低評価まで真に受けて一喜一憂していては、心がもちません。星評価はもともと、感情が大きく動いた一部の人が書く、満足度の歪んだ・部分的な表れにすぎないことを思い出してください。理不尽なものには、振り回されなくていいのです。
返信は、誠実に、しかし踏み込みすぎず
低評価に返信すべきか、と問われることがあります。これは、できる範囲で誠実に、というのが基本です。
返信する場合も、いくつか気をつけたいことがあります。患者さんの個人情報や受診内容には触れないこと。感情的に反論せず、まずは不快な思いをさせたことへの一言を添えること。そして、長々と弁明するより、簡潔に留めること。返信は、その患者さんを説得するためというより、それを読む他の人に「この医院は誠実に向き合う姿勢がある」と伝えるためのものだと考えると、ちょうどよい距離が取れます。
最後は、やはり自院で測る
Googleの評価との付き合い方をまとめると、こうなります。集患に影響することは事実だから、無視はしない。正当な指摘からは学ぶ。理不尽なものには振り回されない。そして、評価そのものを医院の側からコントロールしようとはしない。
外部の評価に時間と感情を費やすほど、足元がおろそかになります。本当に頼りになるのは、自院を訪れた患者さんから、偏りを抑えて広く集めた声です。Googleの星に一喜一憂する代わりに、その声を定期的に測り、改善につなげていく。それが、外部の評価に揺さぶられない医院をつくる、いちばん確かな道です。
出典
[1] 竹久和志、本田真也、日比隆太郎、他「医療機関のGoogleレビューにおける評点とクチコミ評価項目の分析:観察研究」日本プライマリ・ケア連合学会誌 2023;46(1):2-11


