集患の打ち手は、たいてい「入口」に集中している
患者さんを増やしたいと考えたとき、多くの医院がまず手をつけるのは「入口」の部分です。ホームページを新しくする、看板を見やすくする、駅からの動線に広告を出す、ネット予約を導入する。どれも患者さんに見つけてもらうための工夫で、もちろん意味があります。
ただ、これらの施策には共通点があります。いずれも「まだ来ていない患者さんに、どう気づいてもらうか」という発想だということです。入口を広げる努力と言ってもいいでしょう。一方で、いったん来院した患者さんがその後どうなるかは、これらの施策の射程の外にあります。
来院後の満足が、定着と評判を決める
患者さんを呼び込むことと同じくらい重要なのが、来院した患者さんがその後どうなるか、という点です。
期待したほど話を聞いてもらえなかった、待ち時間が長すぎた、受付の対応が事務的だった。そうした不満を抱えた患者さんは、多くの場合、何も言わずに来院しなくなります。そして前回の記事で見たように、その体験は家族や知人へ、あるいはインターネット上へと伝わっていきます。患者さんが医療機関を選ぶとき最も頼りにするのは「家族・友人・知人の口コミ」でした[1]。来院後の不満は、その人ひとりが去るだけでなく、これから来るはずだった患者さんの判断材料にもなっていくということです。
逆に、来院した患者さんが満足すれば、再び足を運んでくれるだけでなく、その満足が良い評判となって周囲に広がります。広告で新しい患者さんを呼び込む努力が実を結ぶかどうかは、その人たちが来院後に満足するかどうかにかかっている、と言えます。
「集患」と「満足度」は、別々の課題ではない
こう考えると、集患という経営課題と患者満足度は、切り離して扱えるものではないと分かります。新しい患者さんを呼び込むことと、来院した患者さんに満足してもらうこと。この二つはしばしば別々の担当、別々の予算で語られますが、実際には一つの流れの中でつながっています。
しかも、満足度を高める取り組みには、広告のように費用が出ていく一方ではないという特徴があります。患者さんの満足は、再来院や口コミという形で戻ってきて、次の集患の原資になります。患者さんが医院を選ぶときに最も頼りにする「人の声」を生み出しているのは、ほかでもない、自院を受診した患者さんの満足度なのです。
まず「今どうなっているか」を知る
では、何から始めればよいのか。答えはシンプルで、自院の患者満足度が今どうなっているのかを知ることです。
来院した患者さんが満足できているのか、できていないとすればどの部分でつまずいているのか。それが分からないまま入口を広げる施策に費用をかけても、効果は安定しません。逆に、患者満足度の現状をつかめれば、限られた経営資源をどこに振り向けるべきかが見えてきます。
この「満足度を知り、高めることが、なぜ経営の成長につながるのか」。その仕組みを、次の記事でより詳しく見ていきます。
出典
[1] 厚生労働省「令和2年(2020年)受療行動調査(概数)の概況」2021年。外来患者の「ふだん医療機関にかかる時の情報の入手先」(複数回答)で「家族・友人・知人の口コミ」が71.1%と最も高い。


